横田 千明　Chiaki Yokota

日本古来より存在する漆による技法を用いること、かたちと素材から成る彫刻としての存在感、これが私の作品の軸になっています。漆芸など漆の世界において下地となる「サビ」私はあえてこの下地「サビ」の状態を残しながら仕上げていきます。「サビ」の肌は唯一無二の表情を持っています。それは付けては磨くという工程を経て自然と現れる模様、また貴重な素材である漆の独特な素材感です。

かたちと素材が重なることで生まれる存在。今と過去を重ねるように、過去に追いつこうとしながら、今を前に進む。時空が輪ようになっているとしたら、前を向き見つめる先は過去の後ろ姿。哀愁を感じられるような現代の古典を楽しみたい。

人としての目線から動物など生き物を見たとき少なからず類似性を感じることがあります。そこに共感する事で生き物に対する感情が生まれていると考えます。共感できる類似性を感じた動物、その仕草、佇まい、そこを作品に転換していきます

無意識的にどれだけ主観で物事をみているか気付く瞬間があります。またそれこそが自分の目を通して物事をみるという事でもあるのだと感じます。鑑賞者のフィルターを通した姿こそが作品本来の姿であるとしたらその姿が興味や共感の対象となるかたちをつくりたいと思います。