ギャラリーMOS

三重県松阪市の画廊

佐野 圭亮

佐野 圭亮 Keisuke Sano

多様な生命が息づく地球。
真っ暗な夜空を仰ぎ見て輝く星々の伱間に目を凝らす。遠くどこまでも広がる暗闇を眺めていると、その彼方には果てしない時間が途絶えることなく流れているのを感じる。それは時として私たちの歴史でありまた人類に単なる物質ではない私たちが何者なのかという根源的な問いを突きつけてくる。
文明がいまだ及ばぬ遠い宙。はしなくも私たちを構成する物質はその遥か遠くからやってきたのだ。
星が生まれては消え、絶え間ない力の作用と連鎖によって繰り広げられるどこまでも続く無秩序の世界。
宙の営みともいえるそれらは生き物の血液が身体中を流れるかのように物質は広大な空間を駆け巡る。
膨大な時を経て、度重なる物質どうしの離合集散はやがてその欠片にぼんやりと生命の輪郭を映し出す。さらなる時の流れとともに私達と私達以外との境界は括り出されていった。
自ら取り入れ、増え、やがて離散する生命、この不思議な現象もまた変幻する宙の稀なる姿の顕れである。
消えかつ生ず。形を得ては失う。具象と抽象のダイナミックな還流の中で生命はひとときの形を与えられ、自然の流れに逆らうかのように「生きる」ことによって自らを存続させてきた。
時折人々が虚な眼差しで遠くの空を眺めるのは何故だろうか。
まるでその目は故郷への郷愁に誘われているかのような、あるいは慰めに満ちた母なる宙を慕い求めるかのように。

略歴など

略歴

1994年 群馬県高崎市生まれ
2017年 東京芸術大学美術学部工芸科卒業
同大学大学院入学
2020年 同大学大学院修了

受賞・入選

2017年 第65回東京芸術大学卒業・修了作品展荒川区長賞
第6回そば猪口アート公募展 特別賞
2018年 東京芸術大学安宅賞 第54回神奈川県美術展工芸部門 大賞第7回そば猪口アート公募展 大賞
2018 伊丹国際クラフト展 奨励賞(老松賞) AAC2018(Art meets architecture competition) 優秀賞
2020年 三菱地所 三菱地所賞
日本漆工協会 漆工奨学賞
東京藝術大学 杜賞
2022年 第9回日展 新入選

収蔵
荒川区 荒川区立図書館ゆいのもりあらかわ
ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)